卒業生インタビュー・パク ミンジョンさん


2019年度卒業生インタビュー、3人目は、学部4年生から柳沢・船戸研究室に在籍し、睡眠研究に取り組むパク・ミンジョンさんです。もともと神経科学に興味があり、アカデミアで活躍する研究者を目指して韓国から留学したパクさんは、この春修士課程を修了し、博士課程へと進学します。パクさんの修士論文は、フロンティア医科学専攻(現 フロンティア医科学 学位プログラム)の優秀論文賞にも選ばれました。

—修士課程ではどんな研究をしていましたか?

 私たちの研究室では、ランダムに遺伝子変異を加えた8,000匹を超えるマウスの睡眠を解析した結果、睡眠量の調節に関わる遺伝子としてSik3を発見し、2016年にNature誌で報告しました。Sik3に変異を持つSleepyマウスは、睡眠量が増えているにも関わらず眠気が解消されないという特徴があります。Sik”3”というからにはSik1Sik2も存在しているのですが、これらの遺伝子と睡眠の関係はまだわかっていません。それを明らかにするために、私はSik1/2それぞれに変異を持つマウスの睡眠の特徴を細かく解析する研究をしていました。その研究結果について今論文を投稿中です。

—研究に取り組む中で、苦労したことはありますか?

 めげない性格なので、失敗してもそんなに落ち込まないのですが、自分の不注意によるミスが重なって、実験がうまくいかなかった時は「もっと丁寧にできたはずなのに」と不甲斐なさを感じることはよくありました。特に繊細な技術が求められる組織切片づくりや、マウスの手術などは今も苦手意識があって、今後克服したい課題です。

—実験で壁にぶつかった時はどのように対処しましたか?

実験の基本的な手順やコツは、研究室の技術職員さんや先輩方に習います。実験がうまくいかなかった時も自分から相談に行って、丁寧にアドバイスをいただきました。

「放牧」スタイルが特徴の柳沢・船戸研究室では、あらゆる場面で積極性が求められます。先生方にもらったテーマにこだわらず、好きな研究に自由に取り組めますが、学生の自主性に任されているからこそ、自分から食らいついていかないと何も起こりません。私も研究室に入ったばかりの頃はわからないことだらけだったので、週2回は質問リストを持って船戸さんを訪ねて、実験計画を作るための相談をしていました。

—引き続き博士課程の学生として柳沢・船戸研究室で研究に励むとのことですが、博士課程での目標は?

面白い研究をして、いい論文を出す!これに尽きます。修士課程で学ぶうちに、実験に対する考え方が大きく変わりました。学部4年生の頃は実験手法を学ぶのに必死で、手技を上達させたくてとにかく実験ばかりしていましたが、それだけでは研究で目指す本当のゴールにはたどり着けません。ただ闇雲に実験を繰り返して努力したつもりになっていただけで、無駄も多かったように思います。優れた研究者になるには、実験が綺麗にできること以上に、ゴールを見据えて戦略を練る力が大切だと気付いたので、今は「手を動かす前にきちんと頭で考える」ことを心がけています。これからも目的に向かって正しいアプローチを重ねて、成果を出していきたいです。

—博士課程修了後の進路についてはどのように考えていますか?

留学を決めた当時は、世界で活躍するような研究者になりたくて、アカデミア以外の道は全く考えていませんでした。でも今はもっと幅広く将来を考えています。大学や企業の研究職はもちろん、生命科学系のコンサルタントなど、ビジネスにも興味がありますし、自分で実際に論文を投稿して、リバイズして…という過程を繰り返すうちに、学術誌のエディターも面白そうだと思うようになりました。私は人とコミュニケーションをとることが好きなので、研究に限らず自分の個性を活かして活躍できる道もいろいろと検討中です。

 

自ら「パーティー大好き!」と語るだけあって、いつも楽しいことの中心にいて、周囲を明るくしてくれるパクさん。これからも、博士課程で研究者としての実験手技や思考力を磨きつつ、柳沢・船戸研究室のムードメーカーとして活躍してくださいね!ご卒業・ご進学おめでとうございます!

 

柳沢・船戸研究室HP:http://sleepymouse.jp