IIISアート作品紹介
すぴー…すぴー…すぴー…


IIISの1階から4階は、「研究者が自由に交流できるように」と、螺旋階段のみでつながるオープンな吹き抜け構造でできています。そのスペースでひときわ目を引くのが、空を飛ぶ巨大なブタさんたち。ひとつひとつをよく見てみると、大きなブタと小さな子ブタが心地よさそうに並んで眠っています。眺めているだけでなんだかほっこりするこの展示。いったい何を表しているのでしょうか?説明ボードにはこう書いてあります。

【すぴー...すぴー…すぴー】
眠りに就いてそのまま夢の世界へ飛んでゆく母ぶたと子ぶた すぴーと寝息を立てて肌を触れあわせられる幸せな時間

なんだかファンタジーの世界!作者のお名前を見てみると「小野養豚ん」さんと、また不思議(笑)。養豚んさんは、筑波大学芸術系で総合造形を専門とする助教の先生です。何を思ってこの作品を作ったのか、お話を伺いました。

温もりを感じてほしいと願いを込めた

ー(展示よりもまず名前が気になってしまい・・・)、なぜ養豚んさん?

養豚ん:私は、実家が養豚場ということで、ずっとブタだけをテーマにして作品を作っている変なアーティストなんです。
 
ー なるほど、それで養豚んさん!!なぜIIISに豚のオブジェを作ることに?

養豚ん:筑波大学構内に私が作ったブタの作品があるんですが、それを見た柳沢機構長が、「IIISの建物にブタをはじめ、さまざまなアート作品を取り入れたい」と思われたらしく、依頼をいただきました。
 
ー 機構長らしいですね(笑)。 でも、ブタをどのように睡眠というテーマと繋げたのでしょうか。

養豚ん:まず、日々、忙しくされている研究者の方々にはアートを通じて癒されてもらい、仕事で感じるストレスを微力ながら減らすことができればということが念頭にありました。そして、「睡眠」というテーマを聞いたとき、最初に私の頭に思い浮かんだのは、母ブタと子ブタが寝ているシーンだったんです。実際、ブタは緊張している時や怖がっているとき、安心するために体を寄り添わせる習性があります。母ブタと子ブタには特にその習性が強く見られ、親子が寄り添っている姿からは「温もり」が感じられます。それは、人間のお母さんと子供にも当てはまるのではないでしょうか。人間にも共感できるこの「温もり」という感覚を、展示を見ることで感じて、日々のストレスから解放されて欲しいと思って作りました。

芸術が科学にインスピレーションを与える

― 私も、この展示をはじめて見たときに、なんかホッコリしました。

養豚ん:ありがとうございます。この展示を見たアメリカの方は、絶対にありえないことが起こる時に使うことわざ「When pigs fly(豚が空を飛ぶ)」を思い出したそうです。実は、私の中で、飛ばない豚が空を飛ぶという、現実の世界ではありえない光景を展示として見せることで、夢を見ているような感覚に浸ってほしいという気持ちでも作っていました。
 
ー 豚が飛んでいる姿は現実の世界で見ることないですもんね。いろいろな意味が込められた展示ですが、睡眠の研究を行なう研究者に向けて特別なメッセージはありましたか。

養豚ん:正直に言って、特別なメッセージはなかったです(笑)。でも、ある研究者からは「サイエンスという答えのない不確かなものにインスピレーションを与えてくれる。」という思いもよらない感想をいただきました。この展示が研究者の創造性を刺激していることを知って、私自身がとても刺激を受けました。

アートとして生まれた創造が、科学の創造にもつながっていく。アートと科学がコラボレーションするひとつの意味が見えたような気がしました。IIISのアート作品【すぴー… すぴー…すぴー…】は、IIISの研究者に、安らぎと、新たなインスピレーションを与えているのですね。
 
本編はこれでおしまいですが、次回は小野養豚ん先生インタビュー番外編をお送りします。なぜ、豚をテーマとした作品ばかりをつくり続けるのか、そのワケを聞いてきました。

IIISアート作品紹介 すぴー…すぴー…すぴー…番外編
小野養豚ん:http://onoyotonn.com/

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